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産業、建設常任委員会(平成22年)

更新日: 2012 年 04 月 26 日

岩手県岩手町 平成22年7月13日〜14日

平成22年9月7日
美里町議会議長 相澤清一 殿
産業、建設常任委員会 委員長 平吹俊雄
産業、建設常任委員会委員派遣報告書
本常任委員会は、委員会規則第22条の規定により、下記のとおり調査を終了したので報告する。

1 調査年月日 平成22年7月13日(火)〜14日(水)
2 調査研修地及び調査事項
岩手県八幡平市 産直連携による地産地消の取り組みについて
岩手県岩手町 契約栽培について
3 参加者 平吹俊雄、赤坂芳則、山岸三男、梁川慶一、村松秀雄
4 調査報告

産直連携による地産地消の取り組みについて

1.視察目的
産直連携による地産地消の取りくみについて
9つの産直施設の連携と地産地消の推進について調査する。

2.八幡平市産直連携協議会立ち上げの背景
9施設の有人産直施設が市内で同じような産物を扱っている。そう言ったなかで、産直同志が連携し、お互い切磋琢磨しながら色んな良いものをつくっているところでもあり、岩手県内では地域の産地として高い販売高を示しており、これからも利用者の皆さんに気持ちよく使ってもらうためにも、産直施設が連携し合っていこうと協議会を立ち上げた。

3.協議会の概要
1、設立 平成21年4月6日
2、名称 八幡平市産直連携協議会
3、構成員 八幡平市内の有人産直 9施設
産直りんどうの里、畑学び舎農産物直売所、安比高原直売センター、松尾八幡平物産館あすぴーて、松ちゃん市場、産直大地、サラダファーム、花といちごの彩花園、道の駅にしね、生産物直売所
4、役員
会長 佐々木春男=松尾八幡平物産館あすぴーて
副会長 工藤良造=安比高原直売センター
監事 伊藤義昭=道の駅にしね、生産物直売所
監事 北口ハマ子=産直りんどうの里
5、主な事業
1) 八幡平市産の農産物のPR
2) 産直大集合イベントの開催
3) 産直レシートラリーの運営
6、予算規模 年額95万円(うち会費は1施設年額1万円)
7、会計年度 毎年1月1日から12月31日まで
8、事務局 八幡平市産業振興株式会社 本社  担当者:物産館あすぴーて担当課長 工藤慎也 電話0195-78-2230

4.視察のまとめ
八幡平市は平成の大合併で3町村が合併した市で、地域ごとに産直施設が9箇所設置されており、旧町村の時代に8箇所建設されております。
合併後は、今年の5月21日に産直「大地」が建設オープンされ、これはふるさと雇用再生特別交付金等で市から3,000万円交付され2年間の委託契約を結んでおり、正職員4名、パート6名の雇用を行っている。
全国的に市内に9箇所の直売所があるのは珍しく、ともすれば競合店になりかねない環境にあるのですが、各直売所の特長があり、介護施設、温泉客、観光客、ペンション、スキー客、インターチェンジ等の条件が整っていて、厳しい中にも営業を行っているところです。このような中、産直同士の連携を通じて地産地消を推進する目的で平成21年4月6日に協議会が設立しました。
具体的な事業として、7月に八幡平市柏台のさくら公園イベント広場で合同イベントを開催。各産直施設が野菜を販売するほか市内の物産が食べられるコースも設置。旬の野菜のレシピ紹介や調理講習なども実施。9月にはスタンプラリーを実施しスタンプを集めた人を対象に抽選会を開き、特産品などのプレゼントをする。各施設とも、市から委託契約や指定管理を受けており、市と一体となって地産地消に取り組んでいる。
直売所の課題としては、時間帯での品切れ。各施設からの物の移動ができない。組合員を増やしたいが生産者組合で消極的である。冬場での品揃いが難しいなど、今後に残された問題もあるとのことでした。
本町としても、地産地消に独自のカラーで改革を進めるべきではないかと考えます。特に学校給食、産業まつりでのイベントなど、町、地域、学校、商工会、JA、生産者などのバックアップを受け、そして町職員が専門的に誘導(仕掛け)する仕組みを整えたらどうか。

八幡平市産直連携協議会での研修 八幡平市産直連携協議会での研修

産直の中核となる道の駅「にしね」 産直の中核となる道の駅「にしね」

契約栽培について

契約栽培について
1.視察目的
地元の大手スーパーと全国に展開するモスフードサービス間での契約栽培について調査する。

2.岩手町の概要
岩手町は昭和30年7月に1町3村の合併で誕生した町である。岩手県の中部から北部に位置する岩手郡に所在し、盛岡市から北へ直線距離で約30キロである。北緯40度線が町を通過しており、北上川の源泉が町内に存する。
国道4号線と国道281号線が交差し、IGRいわて銀河鉄道(東北本線)、東北新幹線が町内を走り、いわて沼宮内駅に「はやて号」が停車するなど交通の要衝でもある。
昭和45年の岩手国体でホッケー競技場の会場となったことから、ホッケーを町技として普及させており、全国的にも珍しい人工芝ホッケー競技場を有するなどホッケーを中心としたスポーツ交流に力をいれている。
農業と林業を生業とした第1次産業の町として、大手コンビニ、スーパーハンバーガーチェーンとの契約栽培や、道の駅「石神の丘」を中心とした地場産品の販路拡大に取り組むなど、先進的な農林業施策を展開している。

3.農業者集団「いきいき農場」
昭和54年、岩手町内の同世代の若い農業後継者7名で農法を統一して高品質な野菜を生産、販売するためのグループとして「いきいき農場」が設立された(現在は正会員15名)。地域内で産出された堆肥を使用するなど化学肥料に頼らない栽培に力を注ぎ、平成14年には正会員全員がエコファーマーを取得している。なお、「生き生き農場」が生産するにんにく、にんじん、ながいも、小松菜、チンゲンサイが特別栽培農産物の認証を受けている。
代表の三浦正美さんは、平成17年度優良担い手表彰の個人・土地利用部門において農林水産大臣賞を受賞しており、その取り組みを広げるべく、講演やコーディネーターなどの活動を通じて幅広く活躍している。

いきいき農場 代表 三浦正美 氏 いきいき農場 代表 三浦正美 氏

いきいき農場キャベツ畑 いきいき農場キャベツ畑

4.視察のまとめ
岩手町の農業は、地域特性を活かし、米(10億円)・畜産(50億円)・園芸(30億円)・葉たばこ(10億円)等を組み合わせた「岩手町型農業」であり4部門で粗生産額100億円の基幹産業として町の発展に大きく寄与し、町も一体となって取り組んでいる。
特に三浦正美氏が経営する「いきいき農場」は、作付面積の6割が契約栽培をしています。その内容は、野菜作付けを中心に65haの経営面積であり、岩手町は比較的畑面積が多いので、ある程度の規模拡大は出来る要素がある主に借地・自作地を主体に経営をしている。標高差がありその地形のメリットを活かして低温を好む野菜をリレー栽培している。7月〜10月までは露地栽培の出荷、11月は人参・長いも、冬場には缶詰用ほうれん草ハウス物の出荷・機械のメンテナンス・ボカシ肥料(発酵肥料)つくりを行っている。また、耕畜連携を本格化させ、耕種農家と畜産経営体が連携を強め、堆肥を有効活用することで安全な作物を生産している実績が高く評価されている。
契約栽培のポイントとしては、
(1) 1~2月に時期、数量、規格、単価、を決める。
具体的には、撥ね物(規格外)・気象災害等でロスが出た場合の対応をどうするか早めに決めていることが重要である。
(2) 先方と連絡を密にする。
120日の出荷日で3~7日位欠品の場合がある。又、相場が高い場合は買ってまで出す場合もあり、欠品は許されないものである。
(3) マックスの交渉に注意する。
先方から、これくらいの作付け本数で1本の重さが何kだから何トン取れるでしょうと言われる。取れないとき値段を高くしてほしいと言っても高くはしてくれない。従って、痛みの被害・発芽不良・生育不良等のロスが出るため1~2割位減覚悟で交渉する。
(4) 数量での調整は厳しいので注意する。
市場の相場が安い場合、市場から手当てして契約している産地の数量を減らす業者もいる。従って、取り決めとして減っても1~2割位まで。
以上のようなことに注意をして契約する。
三浦さんは、33年前に地元のスーパーと産直契約をしたが安定供給に難しい部分があった。それを仲間と厳密な作付け計画を組み、契約を結んだ作付けにしてからコンスタントに出荷するまで4~5年かかった。
契約栽培は、農家の手取りとしてはメリットがある。また、規格外の物も売れるような契約であればさらに良い。しかし、欠品が許されないものであり、たとえ欠品は多少あっても色んな手順を踏んでやっていく、そうでないと4~5日で済まなく場合があり、下手すると半月かかる場合もある。いかに計画的に先方と契約するか冬場のうちから契約する。
本町としても専門職員を配置して、いろいろな情報を取得し、美里町ブランドの契約栽培に本腰を入れるべきではないかと考える。