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総務、教育常任委員会委員派遣報告(平成22年)

更新日: 2012 年 04 月 26 日

山形県高畠町・福島県会津美里町 平成22年7月20日〜21日

平成22年9月7日 
美里町議会議長 相澤清一 殿
総務、教育常任委員会 委員長 大橋昭太郎
総務、教育常任委員会委員派遣報告書
本常任委員会は、委員会規則第22条の規定により、下記のとおり調査を終了したので報告する。

1 調査年月日 平成22年7月20日(火)〜21日(水)
2 調査研修地及び調査事項
山形県高畠町  食農教育の取組みについて
福島県会津美里町 協働のまちづくりについて
3 参加者 大橋昭太郎、我妻薫、橋本四郎、櫻井功紀、武者美太郎
4 調査報告

山形県高畠町の食農教育の取組みについて

1 視察目的
「食育基本法」が2005年7月に施行され、基本法に基づく2010年度までを対象にした「食育推進基本計画」では、家庭や学校、地域を挙げて食育を推進し、生活習慣病などの予防や食品の安全性の確保、食料自給率の向上、食文化の継承や農業体験の推進などの実施策が示されている。
この食育において、山形県高畠町では「いのち」を育み、「いのち」をいただく教育、という観点からの農作業を通した食農教育を実践しているので調査する。

2 高畠町の立地
山形県の南東部に位置し、東部は宮城・福島両県に隣接し、南部は米沢市に接し、奥羽の山並み深く源流をもつ屋代川、砂川の扇状地に開けた町である。
・ 面積 180.04㎢
・ 人口 25,709人(平成22年4月1日現在)
・ 世帯数 7,486世帯

3 教育委員会としての食農教育の考え方
「食農教育」
○特色ある学校づくり推進事業のひとつの柱
町内全ての小・中学校で、水田または畑の栽培活動を行う。(PTA、JA、地域の方々の協力を得ながら)
○「いのち」を育み、「いのち」をいただく教育
＀稲作体験 堆肥蒔きから田植え、草取り、稲刈り、脱穀までを体験する。
＀生産した米 地区内の一人暮らしの老人宅に届けたり、PTA行事や地区行事などに活用。
○畑作体験
＀学校の実情に応じて多様な作物の栽培
＀収穫した作物を自校の給食へ活用(小学校)
＀収穫した作物の販売(ふれあい市場や文化祭でリヤカーを活用した訪問販売)
＀収穫した作物を活用した料理作り体験(芋煮会、冷や汁、呉汁、餅など)
○収穫感謝祭
＀「いのち」をいただくことへの感謝
＀お世話いただいたPTA、JA,地域の方々への感謝
「地域に根ざした学校給食推進事業」
○ねらい
＀安全安心な地場産物の供給体制の整備(自給野菜組合)
＀地場産物活用の割合(食材ベース)30%を目指す。
＀郷土料理の良さを実感させる献立作成
○地場産物供給のしくみ
＀地場産物供給体制の整備
＀季節に応じた安全安心な旬の野菜の活用
＀作付計画の立案や月例の打合せ、翌月への献立への反映
＀週4日間の米飯給食の実施(町内7小学校のうち、2校は自校炊飯)
○生産者との交流
＀生産者及び町関係者による給食試食会と課題整理
○実践内容
＀学校給食を中心とした担任と連携した食育指導
教育委員会では、以上の事業計画等により食農教育を「未来を創る子ども達を育む大切にしたい教育」という位置づけのもと、積極的に取組まれていた。

4 二井宿小学校での食農教育への取組み
前校長の伊澤良治さんが2000年教頭時代に、5年生の社会科の授業で米作りの勉強をすることになり、教科書で勉強するよりも、実際に米作りを体験しようと、子ども達に提案したことから始まった。
「食育は農なくしてあり得ない。食は農と一体であり、食を支えているのは農である」「今の子どもたちに必要なのは、生きる力、生きる技術と知恵」といった理論の持ち主であり、2007年に校長として再赴任してからは、給食で使う農産物の50%を自給しようと、全校挙げて農作業に取組んでいる。卒業までに、10品目の農作物を栽培でき、30種類の料理が作れることを目標としている。2010年3月に伊澤校長が退職後の今年度も、49人の生徒と先生方が野菜作りに精を出している。
○めざすこと(指導の方針)
「仲間と共に 育てる面白さ 、食べる喜び 、学ぶ楽しさを」
・自然や地域や人間との関わりの中で、子どもたちの知的好奇心を高めたり、生きる知恵と技を磨いたりして感動体験をさせる。
・子どもの気付や課題意識をもとに、食文化・環境問題・流通問題・福祉教育・国際交流など、いろいろな方向に発展できるようにしていく。
・3つの学習サイクル(学びに気付く・学びを深める・学びを生かす)を生かして、児童が主体的に学ぶ指導の工夫をする。
○目標
「給食自給率50%」
○育てる野菜 10品目以上
・1年(さつまいも・カボチャ) 2・3年(大豆・里芋) 4年(じゃがいも・大根) 5年(餅米・キャベツ) 6年(人参・白菜・トウモロコシ)

5 視察のまとめ
教育委員会の職員の方や、校長先生、教頭先生とともに給食をいただきました。この食材の中には、子どもたちが作った野菜が含まれていると思ったときに、味わいもひとしおでした。年間20件を超える視察・研修があるとのことでしたが、快く引き受けていただき、さらに給食を勧められた意味が分かった気がしました。
週に3日は、ランチルームで全校生徒と野菜で給食を作っていただく調理師さんと一緒に給食を食べる。野菜の育て方や、郷土料理を教えてくれる地域のお年寄りがいる。このように、多くのひとたちが食農教育を支えていることを研修しました。
二井宿小学校では、総合学習の時間が減っていくが、体験を通した学習の重要性を十分に認識していることから、今後も続けていきたいとのことでした。
本町においても、学校給食のあり方が問われているときであり、参考となる事象が多々ある調査・研修でした。

二井宿小学校での研修

福島県会津美里町の協働のまちづくり

1 視察目的
会津美里町は平成17年10月1日に、2町1村が合併し誕生した。
「協働のまちづくり」を掲げ新しいまちづくりに努めてきた。その中において、地域審議会、住民参加推進、男女協働参画の事業が合併後5年目を迎えているが、成果等について調査を行う。

2 会津美里町の立地
福島県の西部に位置し、東は会津若松市、西は柳津町、北は会津坂下町、南は下郷町・昭和村に接している。北部に広がる平野部と南部を覆う山間地からなり、肥沃な土壌の平野部は主として水田として利用されている。
・面積 276.37㎢
・人口 24,741人(平成17年国勢調査)
・世帯数 6,969世帯

3 地域審議会について
(1) 諮問から答申までのフローはどのようになっているか。
・地域審議会へは、毎年度、5月頃に予算の状況について説明(諮問事項ではない)している。また、決算確定後(10月頃)建設計画の進捗状況を諮問し、答申をいただいている。今年度は、第2次総合計画(基本構想・基本計画)について諮問している。また、来年度から総合計画の政策体系に基づく組織機構改革を予定しており、諮問している。今後、答申を受けて、それぞれの内容整理を行うこととしている。
(2) 答申受理後はどのような処理(活用)をしているか。
・答申を受けた内容については、所管課で整理した後に庁議等で内容を確認し、全庁的に情報の共有化を図っている。
(3) 地域審議会からの意見をどのように受け止めているか。
・地域審議会は、区長会や各種団体の代表、学識経験者、元合併協議会委員等で組織している。地域を代表する方や合併時の検討に関わった方々であり、地域審議会からの意見は真摯に受け止め、課題解決を図っている。
(4) 設置して良かった点は(逆に欠点は)
・合併時の協定項目として、地域審議会の設置(平成28年3月31日まで)を決定している。
合併して5年が経過しており、新町として一体化を目指す一方で、地域審議会の所掌事務は「その設置区域に係る」こととなっており、整合性を図ることが課題となっている。
(5) 地域審議会に対し、町としての配慮は。
・組織機構改革のように、条例上は地域審議会の所掌事務となっていない案件であっても、地域住民に影響のある事項については、地域審議会に説明し、意見をいただくよう配慮している。

4 まちづくり町民会議について
(1) 「会津美里町みんなの声をまちづくりにいかす条例」を基に、どのような事業展開がなされているか
・みんなの声をまちづくりにいかす条例に町民参加の対象となる事項が定められている。一例として、第2次総合計画(基本構想・基本計画)の策定にあたっては、条例に基づき、全て公募による町民で組織する「振興計画町民検討会議」を設置し、これまで14回の会議を開催し、町民とともに計画の素案づくりを行っている。また、町民懇談会やパブリックコメントの実施、振興計画審議会や地域審議会からも意見をいただくことしており、計画立案から意思決定の過程において、町民が意見を述べ、提案する手続きがとられている。
(2) 条例制定によって町が期待するものは何か
・この条例は、町民の声をいかした町民主体のよりよいまちづくりを目指して、町民が行政活動に参加するための具体的なルールを定めたものである。行政活動とは、「町の機関が町民の幸せを実現するための行う全ての活動」としている。行政活動のみを対象としており、限定的であるが、町民主体のまちづくりへの第一歩として規定したものである。
今後、条例に基づく実践の積み重ねにより、行政、町民、議会がともにまちづくりについて議論できる土台をつくり、実践と改革に裏づけられた取組みが行われることを期待している。
(3) 条例制定によって現在の効果はどうなっているか (課題は何か)
・理念条例ではなく、具体的な手続き条例としているため、参加手続きを踏まえた事前のスケジュール調整など、職員の間でも町民参加の必要性についての認識が進んでいる。また、事前に対象事項や参加の方法が公表されるため、参加を希望する町民にとっても、内容を事前に把握することが可能である。
一方で、参加する町民の数は決して多くなく、いかに多くの町民に参加してもらうかが、課題となっている。
また、条例の対象外である議会や町民の自主的な活動のあり方について、条例の制定を見据えた検討を進めることが必要である。

5 男女共同参画について
具体的な取組み内容はどのようなものか
・会津美里町においては、平成17年10月1日に「会津美里町男女協働参画まちづくり条例」を制定し、平成19年2月には条例の規定に基づき、その理念を実現するための具体的施策をまとめた「会津美里町男女共同参画推進まちづくり行動計画」(計画期間:平成19年4月から平成24年3月)を策定している。
行動計画では、4つの基本目標(1.男女平等・人権尊重への意識づくり、2.多様なライフスタイルを可能にする環境づくり、3.男女が共に働くための環境づくり、4.男女が共に担うまちづくり)を掲げ、その目標を達成するための具体的施策及び担当課の役割等を規定している。なお、各年度末には、各課に対し行動計画の進捗状況調査を行い、行動計画の実施が着実になされるよう総合政策課において進捗管理を行っている。
そのほか、諮問機関として条例に基づき「会津美里町男女共同参画推進審議会」(委員 男性4名、女性6名)を設置し、男女共同参画の推進に関する事項の調査審議にあたっている。

会津美里町長から歓迎の挨拶を受ける

6 視察のまとめ
協働のまちづくりは、町民の声を聞くところから始まる。それをあらためて認識する研修でした。その手法としての、地域審議会、会津美里みんなの声をまちづくりにいかす条例、男女共同参画まちづくり条例等への、行政機関の積極的な取組みが伺われました。合併した3町村の一体化に向けた大きな事業にもなっていることと思われます。
本町においても、一体化の醸成や、まちづくりへの参画等に、町民の声を反映する施策がもっと必要と感じました。