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総務、教育常任委員会委員派遣報告(平成21年)

更新日: 2012 年 04 月 25 日

北海道白老町・栗山町 平成21年7月15日〜17日

平成21年9月8日 
美里町議会議長 沼津敬太郎 殿
総務、教育常任委員会 委員長 櫻井功紀
総務、教育常任委員会委員派遣報告書
本常任委員会は、委員会規則第22条の規定により、下記のとおり調査を終了したので報告する。

1 調査年月日 平成21年7月15日(水)〜17日(金)
2 調査研修地及び調査事項
北海道白老町 議会活性化(通年議会)について
北海道栗山町 議会活性化(議会基本条例)について
3 参加者 櫻井功紀、武者美太郎、大橋昭太郎、吉城貢、千葉一男、村松秀雄、沼津敬太郎
4 調査報告

北海道白老町議会の議会活性化(通年議会)について

1 視察目的
白老町議会は、議会改革の取組みとして、「開かれた議会・信頼される議会」を目指し、全国に先がけ「通年議会」制を導入し、議会運営を行なっている。
白老町議会を視察研修して、美里町議会活性化に向けた議会改革に取組むものである。

2 白老町の立地
白老町は北海道の南西部、胆振支庁管内のほぼ中央に位置し、西は登別市、北は千歳市と大滝村、東は苫小牧市に隣接している。
町の人口は、20,110人(平成21年3月末)であり、面積は、425.75平方キロメートルで、その82%を森林が占め、緑豊かな自然と北海道でも温暖な気候に恵まれている。
数多くの水量豊かな河川があり、その流域の平野部に人家が集まり、白老市街地を形成している自然環境と歴史的な観光資源に恵まれた町である。

3 白老町議会改革のはじまり
平成8年2月、第3次白老町行政改革大綱策定のため、民間委員10名による「白老町行政改革推進委員会」を設置し、具体的な改革素案の策定を諮問し、平成9年4月に69項目の具体的な改革案の答申を受けた。
この答申においては、白老町議会に対して「議会運営全般にわたっての見直し」が提起され、議会改革への着手が求められた。

4 白老町議会改革の取組み・活性化の経過
<第1次議会改革>
平成9年3月〜平成14年7月
・平成9年3月 付属機関への就任(兼業)禁止
7月 議会改革の検討に着手
(議会運営委員会に「議会改革等に関する小委員会」を設置)
(小委員会16回、町民との意見交換会2回)
・平成10年1月 議会改革に関する町民意見懇談会 12月 会議中、携帯電話等の持ち込み禁止 他5項目
・平成11年1月 議員定数の削減 4月 白老町議会議員倫理条例の制定 10月 各委員会の地域別開催(移動常任委員会) 他5項目
・平成12年1月 白老町情報公開条例の施行 9月 質問席の対面式化 他5項目
・平成14年3月 一般質問による一問一答方式の採用 7月 第一次改革の検証と第二次改革の検討 他3項目
<第2次議会改革>
平成14年9月〜平成19年1月
・平成14年9月 本会議・委員会の会議案内掲示 12月 議員のOA自主研修の実施 他3項目
・平成15年1月 議会ホームページの運用開始 12月 本会議のインターネット中継本格開始 他5項目
・平成16年1月 議員定数のあり方の議論スタート 7月 独自研修の充実 他3項目
・平成17年1月 付属機関への就任(兼業)禁止の拡大 7月 白老町自治基本条例制定に関する特別委員会設置 他2項目
・平成18年3月 議員報酬の独自削減の継続実施  12月 白老町自治基本条例制定の制定 他1項目
・平成19年1月 議員に対し委員会報告書を事前配布 他2項目
<第3次議会改革>
平成19年3月〜平成20年6月
・平成19年3月 議会運営委員会の審議結果報告の充実 12月 通年議会の試行延長 他7項目
・平成20年3月 地方自治法第180条専決処分の見直し 5月 通年議会の実施(6月1日施行) 6月 第3次議会改革スタート

5 「通年議会」について
(1) 「通年議会」制の導入
「通年議会」による議会の活動能力の確保として導入を行なった。
現在、議会の招集権は首長にあり、議会が主導的に議会を開く仕組みになっていない。定例会の開催は、平成16年の地方自治法改正により回数制限が撤廃され、自治体が任意に議会のあり方を決めることができるようになった。
白老町議会は、議会の活動能力がない「閉会中の期間」を無くし、議会が主導的・機動的に活動できる制度により、チェック機能のより充実強化を図るものであり、災害時の緊急対応や突発的な行政課題に議会が開けることが重要としたところのようである。
(2) 通年議会に関する条例(定例会を年1回に改正)
・白老町議会の定例会の回数を定める条例
平成20年5月26日 条例第20号
白老町議会の定例会の回数は、年1回とする。ただし、議員の任期満了及び議会の解散に伴う一般選挙があった場合は、年2回とする。
附則
この条例は、平成20年6月1日から施行する。
(3) 通年議会に関する招集規則・実施要綱
・白老町議会定例会の招集に関する規則 平成20年6月1日施行
・白老町議会通年議会実施要綱 平成20年6月1日施行
・通年議会の実施に伴う議会運営基準の改正 平成20年2月18日追加
・通年議会の実施に伴う地方自治法第180条専決処分の委任
以上に定められている。

6 視察のまとめ
北海道白老町議会では、議会は、まちづくりの仕組みの基本となる重要な条例であるとし、議会の役割は、議会が自ら策定するものとして、平成18年12月定例会において、町民・議会・行政の役割等一体となった自治基本条例が成立した。
この条例における協働の原則は、「情報共有の原則」と「住民参加の推進」の2本柱であり、議会の責務として「不断の議会改革」を定め、議会運営のあるべき姿を示した。
また、「開かれた議会・信頼される議会」を目指して、早くから議会改革に取組み、議会活性化の一端として、全国に先がけて平成20年6月から通年議会を実施している。
美里町議会においても、平成20年12月議会定例会において「美里町議会活性化調査特別委員会」を設置し、議会改革に向け、調査研究し、取組んでいる最中である。
当委員会としては、この視察研修を踏まえ議会活動能力の確保、しいては災害時の緊急対応や突発的な行政課題に議会が対応できる通年議会について、前向きに調査検討すべきものと望むものである。

北海道栗山町議会の議会活性化(議会基本条例)について

1 視察目的
栗山町議会は、議会改革の取組みとして、全国で初めてとなる議会と町民との約束事「議会基本条例」を制定し、議会運営を行なっている。
先進地である栗山町議会を視察研修して、美里町議会活性化に向けた議会改革に取り組むものである。

2 栗山町の立地
栗山町は道都札幌市、港湾苫小牧市、空港千歳市に1時間の道央圏に位置し、北は屈足山系と東は夕張山系につづく緩やかな丘陵地帯で、夕張市と接している。南西を流れる夕張川は、由仁町、長沼町との境界となり、やや南北に細長く形成されている。
総面積は、203.84平方キロメートル、人口は、13,871人(平成20年9月末)であり、宮城県角田市と姉妹都市締結している。

議会活性化研修(栗山町議会)

3 栗山町議会における議会改革の背景
(1) 平成12年4月の地方分権一括法の施行以来、また、平成15年実施された統一地方選挙から議員定数が5名減の13名になることから、町内全体に目配りするためにも住民との協働による議会を目指す必要があった。
平成13年9月から時代に対応した議会改革・議会活性化に努め、真に「町民に開かれた議会作り」に取組み、4年半に及ぶ議会改革・活性化策の集大成として、議会と町民の約束事として「栗山町議会基本条例」を平成18年5月18日の第4回議会臨時会で全国で初めてとなる条例を全会一致で可決し、同日施行された。
(2) 議会改革背景項目
・地方分権一括法 平成12年4月1日施行
・透明性の確保
・議員は財政問題に弱い
・必要に応じた会議の設置
・監視型議会からの脱皮
・政務調査費の導入
・協働(住民参加)によるまちづくりと議会のあり方
・マスコミとの良好な関係の確保

4 栗山町議会基本条例の特徴
(1) 町民や団体との意見交換のため、議会主催による一般会議の設置
(2) 請願・陳情を町民からの政策提案として位置付け
(3) 重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表
(4) 年1回の議会報告会の開催を義務化
(5) 議員の質問に対する町長や職員の反問権の付与
(6) 政策形成過程に関する資料の提出の努力義務
(7) 5項目にわたる議決事項の追加
1、地方自治法第2条第4項の規定に基づく基本構想及び総合計画
2、栗山町都市計画マスタープラン
3、栗山町住宅マスタープラン
4、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画
5、次世代育成支援行動計画
(8) 議員相互間の自由討議の推進
(9) 政務調査費に関する透明性の確保
(10) 議員の政治倫理を明記
(11) 最高規範性と4年に1度の見直しを明記
(12) 町民から議会運営に関し、提言を聴取する議会モニターを設置
(13) 有識者に政策づくりへの助言をもらう議員サポーターの導入

5 視察のまとめ
栗山町議会においては、4年半に及ぶ議会改革・活性化の集大成として議員と町民の約束事として全国で初めてとなる「議会基本条例」を制定し、民主的な議会運営をなしている。
平成21年度からは、「議会サポーター制度」を導入し、地方自治に詳しい有識者に無償で政策づくりの助言や提言をしてもらい、更なる議会の活性化を図っていくようである。
多くの有識者が、常に議会の知恵袋として、活動する仕組みは、これまでの常識では考えられなかった。研究者が現場と意見交換することで、議会の政策立案能力が格段に高まるだろうと期待もされている。
現在、美里町議会では「美里町議会活性化調査特別委員会」を設置し、議会改革に取組んでいるところであるが、先進地議会を参考に住民に開かれた議会、住民とともに歩む議会を目指し、美里町の特徴である議会基本条例制定に向け、前向きに検討すべきものと望むものである。