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産業、建設常任委員会委員派遣報告(平成18年)

更新日: 2012 年 04 月 27 日

平成18年9月12日
美里町議会議長 沼津敬太郎殿
産業建設常任委員会 委員長 吉田眞悦
産業建設常任委員会所管事務調査報告書
本常任委員会は、委員会規則第22条の規程により、下記のとおり所管事務調査を終了したので報告する。

1 調査年月日 平成18年7月18日(火)〜19日(木)
2 調査研修地及び調査目的(調査事項)
新潟県小地谷市 集落農業の取り組みについて
3 参加委員 吉田眞悦、武者美太郎、村松秀雄、梁川慶一、木村晴夫
4 調査報告 下記のとおり

新潟県小地谷市 集落農業の取り組みについて

1 新潟県小地谷市の概要
人口・世帯数(平成18年4月1日現在)
人口 40,395人
世帯数 12,297世帯
産業別就業人口(平成12年)
第一次産業 1,867人(8.4%)
第二次産業 9,864人(44.5%)
第三次産業 10,430人(47.0%)
その他 11人(0.0%)
計 22,172人(100%)
歴史
寛文・延宝年間(1661〜1681年)の頃に、縮の生産が始まり、後に「小地谷縮」としてこの地を繁栄させる。
幕末には、戊辰戦争の戦場となったが、幸い戦火に見舞われることなく、明治22年に町制をしいた。同44年に鉄道が敷設され、昭和6年に上越線が全線開通し、東京と結ばれる。
昭和29年3月10日に城川村、千田村を合併し、市制を施行。同年5月に川井村、11月に東山村及び六日市村(一部)を合併し、30年1月に岩沢村、真人村、そして31年3月に片貝町を合併し現在に至る。面積155.12平方キロメートル
都市形態 田園工業都市

2 小地谷市農業の概要
(1) 地域及び地域農業の概要
小地谷市は、新潟県の中央よりやや南部にあり、信濃川が流れており、南部は傾斜地が多く北部で平坦地が広がっている。
気象は、日本海側特有の気候で、夏季は高温多湿で冬は季節風が強く12月から4月まで根雪期間となり、積雪は2メートルから2.5メートルである。
魚沼コシヒカリの産地で、水稲単一経営が多い。現在は兼業化が進んでいる。
・耕地面積 3,180ha(田2,690ha 水田率84.6%)
・農家数 2,599戸(専業186戸 一兼346戸 二兼1,364戸 自給703戸)
・1戸あたり平均耕作面積1.2ha
・農業粗生産額 5,858百万円(米82.8% 野菜11.1% 畜産3.8%)
・基盤整備事業面積 2,236.5ha
(2) 稲作の概要
イ)水田農業の現状と取り組み
基盤整備事業が進み、大区画圃場が造成されるとともに、大規模経営を目指す農家と規模縮小をする農家と二極化が進んでいる。
生産調整の対応については、ブロックローテーション地区、組織による土地利用集積を実施する地区、個人対応による集落とが混在する。
・認定農業者数 160名(平成18年6月現在 目標216名)
・認定農業者農地集積面積 667.5ha
・農業生産組織数 稲作組織29 大豆・そば組織9
・カントリーエレベーター 2,000t 3ヶ所
・育苗センター 200,000枚規模
ロ)作物販売状況(平成17年)JA分
・水稲うるち 7,368.5t(コシヒカリ99.9%)
・もち 21t
・酒米 7.4t
・そば 13t
ハ)市独自の生産調整に対する助成 平成17年度助成総額 20,000千円
・団地化促進事業(8千円/10a 対象者;団地化土地利用集積取り組み者)
・受託組織等育成事業者(1千円/10a 対象者;集団転作受託組織)
・生産調整推進事業(個数×1千円 対象者;農家組合)
・地域とも補償支援事業(1,733円/10a 対象者;JA地域とも補償加入者)
ニ)生産調整関係(基礎水田面積28,145,599平方メートル)
・平成17年度生産調整面積 734.7ha 転作率24.6%
・生産確定数量 11,002.27t(反収529kg)
・生産調整実施農家数 2,858人
・地震災害による被災田が271.6haあり(転作地としての37%相当)→5万円/10a支給

3 集落営農の取り組みについて
平成16年10月23日の大地震により、農林関係にも甚大な被害があり、その復興を第一優先としている。集落営農の取り組みについては遅れているが、現在まで12集落での説明会を市・農協・農業委員会・普及センターが合同で行っている。(小地谷市担い手総合支援協議会・担い手育成推進チーム)
話し合いの中で、一番のネックとして経理の一元化があげられているが、コスト低減を目指して、法人化をする集落も出ているとのこと。
また、今年5月に134農家組合を対象に、集落営農に関するアンケート調査を行っている。回収率は91.8%と高く、結果をみると約半数の集落で将来的に個別農家が集落の農地を担うことが可能である。また、43集落では受け手がない農地は耕作放棄となる可能性が高いと答えている。国土保全等の農地の多面的機能を維持していくためには、耕作放棄地を出さないことが大事であり、そのために集落全体で努めていくとの回答も約60%もあった。
今後の集落営農を行っていく場合、法人化を考えている集落が15集落(12.2%)任意組織等を考えている集落が76集落(61.8%)となっている。

4 新潟県中越大地震復興について
当委員会での調査事項は、良質米産地においての集落営農の取り組みであるが、平成15年7月26日におきた宮城県北部連続地震により南郷地域も甚大な被害を受け、また、小地谷市においても平成16年10月23日の大地震により死者17人、重軽傷者785人、住宅被害10,892戸(無被害7戸のみ)道路、ライフライン等に未曾有の被害を被った地震関係の話もいただき、現地視察もさせていただきました。まだ、復興半ばでありますが、市及び関係機関、市民一丸となって復興に取り組んでおられた。
なお、被災状況及び災害対応については、別紙資料を添付し、ここでは被災の教訓を記述いたします。
教訓
1.防災訓練を全市規模で実施
2.市民へのPRを行うため防災の日などを設定
3.災害時の行政の対応には限界があることをPR
4.コミュニティを大切に
5.ライフラインは2系統に
6.心のケア(大人に対しても)
7.耐震性の住宅の促進(支援)
8.罹災証明、生活復興支援の確立と研修
9.復興計画の早期確立
10.復興基本法の制定
11.個人の備蓄品食料は1日分でよい、トイレをどうするか研究しておく
12.特別立法の制定
13.業界等との防災協定の締結
14.応急仮設住宅建設用地の確保

5 まとめ
集落営農について
1.ブランド米・魚沼コシヒカリの産地で、高値販売されている現状もあり、集落営農について意識が高まっていない集落もある。
2.中越地震災害により、集落営農の取り組みは遅れているとのことであるが、関係機関一体となって推進しており、その成果として法人化する集落も出てきている。
3.全地区対象にアンケート調査をして農業者の考え、意見の把握に努め、それらをもとに、各集落にあった法人化や任意組織の立ち上げにむかって話し合いが行われている。
4.本町においても、あらたな農業の展開に集落営農組織が主体となるので、話し合いを続けて、一集落でも多く立ち上げるよう努力すべきである。また、農畜産物のブランド化にむけた美里農業の早期確立にもつながってくるものと思われる。